自分や相手の行動の背景や原因を推測する為に有用だと感じる心理学の概念があります。 それが応用行動分析(ABA)というものです。
自分や相手の行動の背景や原因を推測することは、ストレスへの対処として有効に働きます。 ストレスに直面した時には、例えば「消去バースト」の概念を思い出してみてください。それが、ストレス解消や問題解決への一歩となるかもしれません。
この記事では、消去バーストの定義や例、防ぐ方法などを詳しく解説します。
続きを読むをクリック消去バーストの定義
消去バーストとは、消去手続きによって反応が減少する前に、一時的に反応が激しくなる現象です。
・消去手続きとは、ある行動に対して強化子(ポジティブな刺激・行動を増加させる刺激)を与えないことで、反応を弱化(減少)させていき、やがて行動を消去させていくことです。
例えば猫が餌(強化子)を欲しがって甘えるという行動に対して、飼い主が餌(強化子)を与えない場合、猫は甘えても意味がないと感じるかもしれませんよね?
用語を当てはめると、行動(甘える)に対して報酬となる強化子(餌)を与えなかった結果、報酬に対する反応が弱化(減少)されていき、やがて行動(甘える)が消去されていくって感じでしょうか?
このように、消去手続きによって、通常は行動が減少します。
しかし、消去手続きの初期段階では、逆に行動が激しく(行動の激化)なったり、こだわりのある行動(こだわり行動)が選択されるかもしれません。
今の猫の例でいうと、報酬となる強化子(餌)を与えなかった結果、報酬に対する反応が弱化(減少)されたとして、このとき消去抵抗(消去・弱化に対する抵抗)が高いと強化子(餌)を求めて更に甘えてきたり(行動の激化)、引っ掻いてくる(こだわり行動)かもしれません。
猫にとって重要度の高い強化子(餌)であればあるほど、消去抵抗は高くなるでしょう。
消去抵抗が高い例としては毎日決まって受けられる強化より、もらえたりもらえなかったり、たまに受けられる強化のほうが期待値が高くなり、消去抵抗が強まる性質があります。
・連続強化・連続強化スケジュール:毎日決まって受けられる強化
・部分強化・部分強化スケジュール:時間や回数など、特定の条件をクリアしたときだけ、受けられる強化
猫の例でいうと毎日の餌よりも、たまにもらえるご褒美としてのおやつのほうが期待値が高く、消去抵抗が高いかもしれません。
他に期待値が高い例だとソーシャルゲームのガチャやギャンブルがそうでしょうか?受けられそうで受けられない部分強化は消去し難く、むしろ行動は激しくなって倍プッシュだ!って状態になってしまうことがあると思います。
連続強化はなまじ当たり前に受けられる強化な故に、期待値と消去抵抗の値が低いのかもしれませんね。
当たり前のものは消去されてから初めて大切なものだったと気づくかもしれませんね?
これは当たり前のものにありがたみ、消去抵抗を感じにくい事を表しているかもしれません。
ハンフレイズ効果(強化矛盾)とも呼ばれ、一定の強化よりも不規則な強化をしたほうが強化子がなくなっても行動が維持されやすい。
消去バーストの例
消去バーストは、日常生活でよく見られる現象です。 以下にいくつかの例を挙げます。
仕事でミスをしたときに、上司が怒鳴る
上司の怒鳴る行動は嫌子(行動を減少させる刺激)であり、部下のミスを減らすための消去手続きと考えられます。
しかし、自分は上司の怒鳴る行動に対して、消去バーストを起こしてしまうかもしれません。
毎日の様に怒鳴り散らす上司(連続強化スケジュール)の場合は「いつものことか」と消去抵抗が低いので消去バーストが起きにくいかもしれませんね
しかし優しくあまり怒らない上司(部分強化スケジュール)が怒った場合はネガティブ(嫌子)に映るかもしれません
いつも優しいのに怒った(部分強化)という、いつもの様子(連続強化)ではないという理由が部分強化としての消去抵抗の高さに繋がるのでしょう。
次に消去バーストはどうなるでしょうか?
この消去バーストでいうと、上司の怒鳴る行動(嫌子)に反発して、さらにミスを繰り返したり(行動の激化)、口論に自信がある部下は上司に口答え(こだわり行動)したりすることが予測できるでしょうか。
これは、上司の怒鳴る行動が自分の仕事の評価ではなく、上司の感情の表現であると認識できなかったり、自分の仕事に対する自信や満足感が低かったりする場合に起こりやすいでしょうか。
また、上司の怒鳴る行動が予測できなかったり、突然変わったりする場合にも起こりやすいです。
恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動
恋人に連絡をする行動は強化子であり、恋人との関係を維持するための強化手続き(消去手続きの逆)と考えられます。
しかし、恋人と別れたら、恋人に連絡をする行動は消去手続きとなります。
恋人が消去バーストを起こした場合、恋人に連絡をしても返事がなかったり、冷たい態度を取られたりすることが予測できるでしょうか。
それでも、自分は恋人に連絡をする行動をやめられないかもしれません。
これは、恋人から得ていた強化子(ポジティブな刺激)が高く消去に対する消去抵抗(消去手続きに対する抵抗)が高い事が原因として考えられます。
恋人との思い出の中で恋人が自分にしてくれたサプライズ(部分強化)たまに見せてくれた笑顔・優しさ(部分強化)は消去し難い高い抵抗力を持つ嫌子となるでしょう。
そしてそういった大切な思い出(部分強化)を思い出していく中で、毎日当たり前だった毎日のおはようの挨拶(連続強化)恋人の口癖を思い出していくでしょう。
そうすることでその時間が奇跡だったことに気づきます。
恋人と別れることが予想できなかったり、突然決まったりする場合にも部分強化の消去抵抗を感じるでしょうか。
ダイエット中に甘いものを食べるという行動
甘いものを食べる行動は強化子であり、食欲や快楽を満たすための強化手続きと考えられます。
しかし、ダイエット中に甘いものを食べる行動は消去手続きによって生じた嫌子(ストレス)に対する消去バースト(行動の激化)といえるでしょうか。
これはあくまでダイエットによるストレス反応なので、満腹になるために甘いものを食べてるわけではないという事になります。
それは満腹感が得られなかったり、罪悪感や後悔を感じたりすることに繋がるでしょうか。
それでも、自分は甘いものを食べる行動をやめられないかもしれません。
これは、甘いものを食べる行動が嫌子を遠ざける、ストレス解消や自己肯定の手段になっていたり、ダイエットに対する期待や不安が大きかったり(部分強化)する場合に起こりやすいでしょうか。
また、ダイエット中に甘いものを食べる機会が減ったり、突然増えたりする場合にも起こりやすいでしょうか。
嫌子を遠ざけることは簡単でも、嫌子の根本的解決と向き合うことは難しいですね。
消去バーストを防ぐ方法
消去バーストはストレスや問題を増加させる可能性がありそうですよね?そこで、消去バーストを防ぐ方法を考えていきます。
消去バーストを防ぐ方法は、強化子に対する期待や不安を評価することでしょうか?
論理的に強化子を解釈することで、期待や不安を抱く理由を感じること出来ます。
具体的には以下のようなことができます。
強化子の出現や消失に対する理由やルールを明確にすること
・仕事でミスをしたときに、上司が怒鳴る理由や頻度、基準などを知ることで、上司の怒鳴る行動に対する期待や不安を小さくできます。
・恋人と別れたときに、恋人に連絡をする理由や効果、限度などを考えることで、恋人に連絡をする行動に対する期待や不安を小さくできます。
・ダイエット中に甘いものを食べる理由や影響、目標などを設定することで、甘いものを食べる行動に対する期待や不安を小さくできます。
強化子の出現や消失に対する感情や思考をコントロールすること
・仕事でミスをしたときに、上司の怒鳴る行動に対して、怒りや恐怖ではなく、冷静さや理解を持つことで、上司の怒鳴る行動に対する期待や不安を小さくできます。
・恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動に対して、愛情や執着ではなく、受け入れや自立を持つことで、恋人に連絡をする行動に対する期待や不安を小さくできます。
・ダイエット中に甘いものを食べる行動に対して、快楽や罪悪ではなく、健康や自信を持つことで、甘いものを食べる行動に対する期待や不安を小さくできます。
強化子の出現や消失に対応する代替的な行動を見つけること
・仕事でミスをしたときに、上司の怒鳴る行動に反応する代わりに、ミスの原因や改善策を探すことで、上司の怒鳴る行動に対する期待や不安を小さくできます。
・恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動に反応する代わりに、自分の趣味や友人と過ごすことで、恋人に連絡をする行動に対する期待や不安を小さくできます。
・ダイエット中に甘いものを食べる行動に反応する代わりに、運動や水分補給などの方法で食欲やストレスを抑えることで、甘いものを食べる行動に対する期待や不安を小さくできます。
消去バーストのメリット
消去バーストはストレスや問題を増加させる可能性がありますが、一方でメリットもあります。 以下にいくつかのメリットを挙げます。
消去バーストは自分や相手の行動の背景や原因を推測することができます。
・仕事でミスをしたときに、上司の怒鳴る行動に対して、上司は自分の仕事に対する責任感や期待が高いのかもしれないと推測することができます。
・恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動に対して、自分は恋人との関係に対する不安や依存が強いのかもしれないと推測することができます。
・ダイエット中に甘いものを食べる行動に対して、自分は食べることに対する快楽や自制心が低いのかもしれないと推測することができます。
消去バーストは自分や相手の行動の変化や成長を促すことができます。
・仕事でミスをしたときに、上司の怒鳴る行動に対して、上司は自分の仕事のスキルや品質を向上させるように励ましてくれているのかもしれないと考えることができます。
また、恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動に対して、自分は恋人との関係に対する信頼や自立を築くように挑戦しているのかもしれないと考えることができます。
・ダイエット中に甘いものを食べる行動に対して、自分は食べることに対する健康や自信を高めるように努力しているのかもしれないと考えることができます。
消去バーストは自分や相手の行動の意味や価値を見直すことができます。
・仕事でミスをしたときに、上司の怒鳴る行動に対して、上司は自分の仕事の意義や貢献を認めてくれているのかもしれないと感じることができます。
・恋人と別れたときに、恋人に連絡をする行動に対して、自分は恋人との関係の思い出や学びを大切にしているのかもしれないと感じることができます。
・ダイエット中に甘いものを食べる行動に対して、自分は食べることの楽しみや幸せを感謝しているのかもしれないと感じることができます。
消去バーストのまとめ
消去バーストは強化子が出現したり消失したりする場合に起こりやすく、ストレスや問題を増加させる可能性があります。
しかし、消去バーストは自分や相手の行動の背景や原因を推測したり、変化や成長を促したり、意味や価値を見直したりする機会でもあります。
消去バーストを防ぐ方法は強化子に対する期待や不安を小さくすることです。 具体的には強化子の出現や消失に対する理由やルールを明確にしたり、感情や思考をコントロールしたり、代替的な行動を見つけたりすることです。
消去バーストは避けられない現象ですが、上手に対処することで、自分や相手の行動を理解しやすくしたり、改善しやすくしたりすることができます。 消去バーストについての文章は以上です。
いかがでしたか?
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